Grass Field
   オフィス・ジロー
パンフレット

 コラム  

  第一回 情報システムを経営戦略実現の強力なツールとして再認識しましょう


  第二回 ISOとITのコラボレーションによる情報システムの最適化

  第三回 情報セキュリティ対策を競争優位の源泉に!

  第四回 組織のライフサイクルとIT化

  第五回 業務の「見える化」と情報システム

  経営基盤を向上させるキーワードとして、最近「見える化」が注目されています。『見える化−強い企業をつくる「見える」仕組み』という本の中で、遠藤功氏は「見える化」を現場力の中核となるコンセプトと位置づけ、「問題の見える化」「状況の見える化」「顧客の見える化」「知恵の見える化」「経営の見える化」の5つのカテゴリーに分類しています。そしてこれら「見える化」の仕組みを構築して問題発見・解決につなげるためには、多様なタイプの情報を様々な仕組みで連鎖的に「見える」ようにすることが重要である述べられています。
 社内外の情報は多種多様に渡っており、しかも情報量も益々増大している中で、「見える化」を図るためには、ITの活用が非常に重要な要素であることは言うまでもありません。中小企業においてもIT導入による業務の効率化はかなり進んできていますが、ITをさらに有効に活用して情報を「見える化」し、現場力や経営力の向上につなげている企業はごくわずかしかないのが現状でしょう。ITを単に業務効率化の道具として使うだけでなく、経営力向上の源泉である「情報資産」を扱う道具として使いこなせるかどうかが、今後の中小企業の経営基盤を左右すると言っても過言ではないでしょう。
 しかし、IT活用に頼りすぎる弊害も認識しておく必要があります。過度にITに依存した仕組みにしてしまうと、逆に「見えない化」を促進してしまう悪い作用を起こすケースがあると指摘されています。単にITによって情報が表出されているだけで、それが的確なアクションにつながらなければ、ここで言う「見える化」にはなりません。また、パソコン上の数字ばかりに目を奪われ、現場が見えていなければそれこそ本末転倒です。ITの限界を認識しながらも、ITの持つ可能性を最大限発揮させ、「見える化」のための有用な道具(ツール)として活用する方策を求めなければなりません。

※「見える化」のプロセスと情報システムの役割
 「見える化」のプロセスとして「外化」→「可視化」→「情報化」の3つの段階が示されています。「外化」は様々な情報を外に取り出すこと、「可視化」は外化された情報を伝達すべき情報、共有すべき情報を選んで整理すること、「情報化」は可視化された情報をコミュニケーションできる情報へと加工することです。*
 これら各プロセスにおいて情報システムが果たす役割として、「外化」の段階では「いつでもどこからでも情報を取り出せる基盤の提供」、「可視化」の段階では「必要な情報が整理され、タイミングよく提供される仕組みと検索機能の提供」、「情報化」の段階では「判断・アクションにつながる加工された情報の提供」が求められます。

*NEXT ING 2004/05号(三菱総合研究所)

※情報システムに求められる具体的な機能
 情報システムは単純に言えば、インプットをアウトプットに変換する処理です。したがって、「見える化」を支援するシステムに必要とされる機能についても、インプットとアウトプットの両面から整理する必要があります。それぞれどういった要件が必要となるのか、また効率性と有効性を高めるためにどういう技術を組み合わせるのかに着目します。
◆情報のインプット
 情報の「見える化」の大前提は企業内に情報やデータが存在することです。これがなければ、「見える化」が実現できるはずはありません。中小企業でもITの導入により情報の蓄積自体はかなり進んでいるはずなのですが、その情報の質や量が十分とはいえない場合が多く見られます。情報やデータは詳細であればあるほど活用の幅が広がるのですが、詳細なデータが集まっていない、あるいはデータは存在するがデジタル化されてデータベースとして整理されていないという事例がよくあります。まずは、なるべく詳細なデータをきちんとインプットする仕組みづくりが不可欠です。
 情報やデータがスムーズにインプットされる条件として、「正確性の確保」と「入力コストの低減」といった機能が求められます。
 正確なデータを入力することについては当然となる最低限の条件なのですが、データ入力に人間が関与する以上、現実には不正確なデータが混じってしまうこと避けられないのも事実です。正確性の確保のためには、システム上の工夫とともに、入力作業方法の改善も含めて検討する必要があります。
 また、いくら情報の「見える化」を図りたいと言っても、そのために入力の手間があまりに多くかかるようでは意味がありません。やはり情報の費用対効果をしっかりと意識しておくべきです。その上で入力にかかるコストをなるべく下げる工夫が必要になります。

 具体的な工夫内容として以下の3つのポイントがあります。

@作業や思考の流れと入力の流れがなるべく一致するような設計にする。

A手入力や二重入力を少なくする。
 バーコードスキャナなど自動認識装置を活用して入力する方法を採用すれば、入力ミスをなくすと同時に入力の手間を減らすことができます。
 また、業務ごとのソフトを使用している場合、同じデータを何度も入力することが発生することがあります。そうした二重入力がなるべく発生しないように、一貫したシステムの構築を図るか、ソフト同士のデータ交換が自動的にできるようにします。

B入力データをチェックする仕組みを作る。
 人間が入力作業を行う場合には必ず入力ミスが発生すると考えておくべきです。したがって、ミスを前提にしたチェック機能が必要です。入力時に不正なデータが入力されないようなチェック機能がソフトに装備されていることや、入力後チェックリストを使って元になる生データと照合する仕組みを作っておくことも必要です。
◆情報のアウトプット
 情報のインプットが「見える化」の前提であるのに対し、アウトプットは「見える化」の核となるものです。「見える化」を実現するためには、アプトプットを様々な面から工夫する必要があります。「見える化」を支援する情報システムの効果を高めるためのポイントを4つの視点でまとめました。

 1.「見る」情報の定義を明確にする
 必要となる情報は、部門や社内での役割によって異なることは言うまでもありません。単に情報が一律に見える仕組みを作ってしまうと、注目箇所の焦点がぼやけてしまい、結果的に的確な判断に結びつかない上に「見えない化」を促進することになりかねません。なによりも第一に情報利用の目的を明確にして、それをもとにして、誰にとって(WHO)、どんな情報が(WHAT)、いつ(WHEN)、どういう形で(HOW)必要であるのかを整理することに取組みましょう。

 2.いつでも、どこでも、簡単に見える仕組みを作る。
 情報が「見え」て判断するためには、その「見える」タイミングが重要な意味を持ちます。変化をなるべく早く検知し、迅速に対応することが現場力強化に欠かせません。そのためにスピードと使い勝手が重要なポイントになります。「いつでも」「どこでも」「簡単に」情報が取り出せるようにするために、以下のようなシステム活用が考えられます。

  【ブラウザを使った情報共有】
 生産管理や販売管理、会計などについて専用のソフトを使って管理している場合、それぞれのソフトをインストールしたパソコンからしかデータを見ることができないことがよくあります。その場合に業務担当者以外が情報を見ようとすると、専用のパソコンを操作するか、オペレータに依頼してデータ取り出してもらうといった面倒なことになります。
 そこで、ブラウザ機能を使って共有のデータベースから情報を取り出せるシステムを使えば、手元のパソコンからでも手軽に情報が見えるようになります。データベースから直接データを取り出せるので、新鮮な情報をいつでも入手でき、しかも専用ソフトの使用方法を知らなくてもインターネット感覚で簡単に操作できます。
 ただし、どのパソコンからでも簡単に情報が取り出せる仕組みは、一方で情報漏えいのリスクも伴ないます。セキュリティ対策とセットで考えることが必須です

  【モバイル機器の活用】
 「いつでも」「どこでも」を実現するツールとして思い浮かぶ代表的なものが、携帯電話や携帯情報端末(PDA)といったモバイル機器です。
 社内情報をWEBサーバにアップロードしておけば、携帯電話のi-modeやEZwebなどの機能によって、出先からでも常に商品情報や在庫情報などを得ることができ、いちいち問い合わせる必要がなくなります。
 また、携帯情報端末の場合は、無線LAN機能が搭載されていれば社内サーバと常に接続している状態にあり、手軽に持ち運びながら情報を取り出すことができます。小売店の店内で顧客と対応しながら在庫状況や入荷情報を確認するといった使い方が可能です。

 3.「見える」だけではなく「見せる」工夫も必要
 情報を見て、判断し、アクションをおこす主体はあくまで「人」です。どんな素晴らしい情報があろうとも、それが判断やアクションにつながらなければ一文の価値もありません。情報技術の進展によって、人が見えやすい仕組みや仕掛けをいろんな形で提供することは容易になってきましたが、それが直接人の意思や行動まで影響することにはやはり無理があります。ただ、以下のような情報システムを組み合わせることによって、判断やアクションにスムーズに移行しやすい仕組みを構築することも可能です。

  【自動メール送信によるプッシュ型情報提供】
 必要な情報がいつでも見られる状態にしておく情報発信の方法はプル型ですが、それが有効に機能するためには、担当者が自ら情報を「見る」という行動をおこすことが前提になります。したがって担当者の意識が低かったり失念したりした場合には、宝の持ち腐れになりかねません。
 それに対して、システム側から担当者に情報を送りつけるプッシュ型の情報提供を活用すれば、担当者への意識付けを高めることもできます。例えば、定期的に未収金の得意先リストを作成し、担当者や管理者へメールを送信する仕組みを自動化しておくといった方法があります。

  【表現を工夫して判断への流れをスムーズにする】
 情報のアウトプットがスムーズに判断につながるためには、人が認識しやすい表現であること、判断基準となる情報を持ち合わせていることの2つの要素が必要となります。
 人に認識させやすくするためには、グラフ化によりわかりやすく視覚化する方法や、異常値などの場合に色を変えるなどして注意を引く方法を取り入れることが考えられます。
 また、適切な判断の材料となるように、過去データや計画データなどとの比較して表示したり、時系列にデータを表示したりする方法を活用することも必要です。

 4.「見える」から「視える」で原因追及できる仕組みも整える
 冒頭に紹介した本の中で、「見える化」のバリエーションとして「視える化」「診える化」「観える化」が挙げられてあります。「見える化」を基本にしながらも、それぞれの「みえる化」に深化させる必要性が述べられています。
 この中で「視える化」については「さらに掘り下げて深く見よう」とする使われ方をします。判断の材料としての「見える化」から、原因を追究して改善につなげる材料としての「視える化」に深めていく仕組み作りは欠かせません。その手法として代表的なものが「ドリルダウン」です。ドリルダウンとは、問題のある個所を掘り下げていき、原因を追求し、どこに問題があるかを突き止める事を行う機能です。例えば、ある都道府県別の売上金額から、市町村別売上金額へ、さらには得意先別売上金額へと詳細に見ていくことです。
 こうしたドリルダウンの仕組みは、一元的なデータベースを整え、ブラウザでのリンク機能を活用することで、比較的容易に構築することができます。

 「ITの経営活用」と一言で言ってもその内容は千差万別です。業務活用の視点からみると、単にワープロ代わりに納品書や請求書を印刷する段階から高度な売上分析により需要予測する段階まで種々あります。また、取引先との情報伝達手段の視点から見ると、電子メールで取引先と連絡する程度から取引先との電子商取引までのレベルが存在します。
 ITの活用を考える場合、自社の現在の経営レベルはどれくらいで、将来的にはどの経営レベルまでを目標とするのか。そのためにはどういった優先順位をつけてITを導入するのか明確にしておかないと、せっかく導入した情報システムも使いこなせないばかりか、逆に業務の効率を落としてしまうことにもなりかねません。
 また、将来の会社の規模を想定した上で情報システムにある程度拡張性をもたせて考えておかないと、二重投資になってしまう恐れもあります。常に組織のレベルと情報システムはリンクさせて考えておくことが効率的で効果的な組織経営の上で不可欠と言えるでしょう。

※組織のライフサイクル
  組織のレベルを考える上で有効と考えられるのが、「組織のライフサイクル」という考え方です。「組織の経済学」(リチャードL.ダフト著 ダイヤモンド社)中で組織の発達段階を4つのステージに分類して考察してあります。
 第一段階は「起業者段階」というものです。創業者が創造的な新製品や新サービスをもって起業する段階です。組織は経営者個人のコントロールで行われ、非公式かつ非官僚主義的な状態になっています。
 第二段階は「共同体段階」とされるものです。組織は明確な目標と方向性を策定しはじめ、権限の階層構造、職務の割り当て、当面の分業が確立します。従業員は共同体の一員という意識が強く、コミュニケーションやコントロールはまだ非公式の部分も多いとされています。
 第三段階は「公式化段階」とされるものです。この段階では、ルール、手順、コントロール・システムが導入され利用されるようになります。ミドル・マネージャの役割が大きくなり官僚化が進んでいきます。目標が外部から内部の安定に向いてしまうことも発生します。
 第四段階は「精巧化段階」と呼ばれ、成熟段階に達します。組織は、大規模かつ官僚主義的で、包括的なコントロール・システムやルール、手続きを有します。この段階に達すると組織の刷新やイノベーションを行わないと徐々に衰退していく可能性があります。
 それぞれのステージにおいて組織の「危機」を内包しており、その危機を乗り越えることで次の段階に移行していくものの、「こうした移行にかかわる問題をうまく解決できない組織は、成長が制限され、倒産する場合さえある」と述べられています。

 このような組織のライフサイクルを基にして、それぞれのステージにおけるIT導入のポイントを考えてみましょう。

※起業者段階における情報システム
  この段階での最初の課題に「定型業務の効率化」があげられます。起業者段階では少ない資源で市場に立ち向かわないといけないため、当然経営者は新しい製品の開発や新しい顧客の開拓に全精力を注ぐことが必要になります。しかし一方、会社を順調に機能させるには納品書や請求書発行、仕入管理、在庫管理など間接的な業務が欠かせません。これらの業務は定型的でシステム化しやすいため、そのIT化が最初に取り組むべき課題になります。少ない人的資源をより高付加価値な業務に振り向けるために、定型的な業務は少しでもIT化して省力化するべきです。
 この段階では会社の規模も小さく、十分に投資できる余裕も少ないため、市販のソフトウェアを導入して対応することが合理的です。それで対応しきれない部分は、表計算ソフトなどを使ってフォーマットを作成し、活用する方法が考えられます。また、少し勉強して市販のデータベースソフトを使った簡単なデータ管理も有効な方法です。 IT導入費用を抑えたい場合はASPサービスを利用する方法もあります。ASPはインターネットを通じて色々なソフトウェアサービスを受ける形態です。ネット接続環境さえあれば、ソフトのインストールやメンテナンスの手間が省け、また費用も月額払いになるので、初期投資が少なくて済みます。
 将来的に会社の規模を大きくすることを前提とした場合、この起業者段階でなるべく業務を複雑化しないように留意すべきでしょう。つい、行き当たりばったりで継ぎはぎの業務運営になりがちですが、なるべく業務をシンプルにすることを心がけることで、後々のシステム化がやりやすくなります。

※共同体段階における情報システム
  この段階での第一の課題は、「分業を前提とした業務のシステム化」になります。分業化された各々の業務をいかに効率よくする。また、業務間の情報のやり取りを正確にかつスムーズに行うといった点に留意する必要があります。
 前の「起業者段階」では、業務の処理手順が経営者もしくは担当者の頭の中にしかないという状態になりがちです。ところが、分業化されるとそれでは業務がスムーズに流れません。まずは、それぞれ担当者の頭の中にある業務手順を確立し文書化することで目に見える形にすることが最も重要な課題です。その上でコード体系の統一化やデータの受け渡し方法などのルール化をすすめます。部分的な情報システムから全社システムへ発展させるための基盤作りとして位置づける必要があるでしょう。
 定型的な業務のシステム化の一方で、競争力の源泉となる固有技術の強化にITを活用することも必要になってきます。製造業の場合はCADやCAMの活用、卸売業の場合はピッキングシステムや配送システムの導入、小売業の場合POSシステムや顧客管理システムなどの導入があげられます。「自社の強みは何なのか」をしっかり分析した上で、その強みを発揮させるためのシステム化を検討します。
 またこの段階では、ほぼすべての社員がパソコンを操作できることが前提になってきます。それも単にパソコンソフトが使えるだけでは十分と言えず、データを入手し、表計算ソフトなどで有用な情報に加工するスキルも求められます。個々の社員ITスキル向上意欲に頼るだけでなく、会社としてIT教育を行う仕組みを作ることも必要となるでしょう。

※公式化段階における情報システム
  この段階は、良くも悪しくも「官僚主義化」が進行するステージです。前例主義や縦割りの弊害が発生しやすくなります。また、中間管理職のマネジメントコストも高くなります。こうした問題を全社最適の視点から解決することに主眼をおくことが求められます。
 そのひとつの方法に、部門内・部門間両方のコミュニケーションを円滑にするためのIT活用があります。具体的には、イントラネットやグループウェアの活用です。イントラネットを有効に使えば、必要な情報がどのパソコンからもブラウザを使ってみることができるようになり、業務担当者の負担が増えることなく情報共有が実現できます。また、グループウェアの電子メール、掲示板、スケジュール管理や施設管理などの機能を使えば、連絡や調整がスムーズになると同時に、連絡の履歴が残ることでトラブルを避けることもできます。
 さらには、グループウェアの中のワークフローという機能を活用すればマネジメントコストを削減することも可能になります。ワークフロー機能により、旅費や経費の承認、稟議書の決裁を効率的に進められます。また、同時決裁や決裁状況を随時確認できるため、稟議が滞る事態も回避できます。ただ、システムを導入するだけでは十分な効果があるとはいえません。本当に稟議が必要なものかどうか、稟議ルートをもっとシンプルにできないかなどの見直しも含めて改善することでさらに効率的な組織運営ができるでしょう。
 情報の共有化を進める上で留意しておくべき点は、情報が正確でタイムリーでなければいけないということです。その大前提となるのがデータの一元化です。クライアントサーバ型のシステム構成にし、見積、受注、出荷、請求、回収といった一連の業務のデータを一元管理すること。そして各部門においては、一元化されたデータを基にして部門ごとに必要に応じて加工された情報を利用するという仕組みの確立が求められます。
 また、このレベルの組織になると、対外との情報のやり取りも必要になってきます。ネットワークを活用した取引先との情報共有や電子商取引も含めたシステムが必要となります。
 こうした、社内データの一元管理、社外との情報連携を考えると、ある程度大掛かりにシステム再編を考えないといけない時期になります。統合パッケージ(ERP)や管理会計システムなど高度なシステムを自社に合った形で導入すれば、競争力の強い高度な経営を確立する基盤になり得ます。費用対効果も考慮に入れ、将来を見越したシステム設計が必要です。
 またこの段階では、一人一台にパソコン配備は当然となっているでしょう。そうなるとパソコン及びその周辺機器の台数はかなりの数にのぼります。ハード、ソフト両面でのシステム運用や管理のためには情報システムの専門部署を設け、組織横断的にシステム管理していくことが必須となります。また同時に、情報セキュリティの面での仕組みづくりも避けることができなくなります。

※精巧化段階における情報システム
  この段階に達している会社は、すでにかなり高度な情報システムが構築されているでしょう。この段階で求められるのは、「経営革新」を目指したIT活用になります。いままでのやり方を刷新し、新しいビジネスモデルを確立するためにいかにITを活用するのかという視点が欠かせません。
 新しいビジネスモデルを考える場合には、情報技術の新しい流れには常に注目しておかねばなりません。インターネットやモバイル技術を活用していくことはもちろんのこと、GPSやICタグなどの活用事例にもアンテナをはり、自社の経営に取り入れられるものかどうか、取り入れる場合はどういった方策をとるのかといった判断が求められます。
 別の視点から「経営革新」に向けてポイントとなるのは、「開かれた組織」を目指すことです。組織の内側の知恵、外側の知恵を最大限引き出して活用する方向性を持たなければ、組織は内向きになり衰退してしまいます。
 そのためのひとつは、顧客の持つ情報を取り込むための活動です。顧客情報を収集する目的を明確にし、インターネットなどを最大限の活用して情報を収集し、その収集した情報をデータベース化する仕組みを整えることが求められます。
 もうひとつは、社員の持つ知識のより有効な活用です。いわゆるナレッジマネジメント(知識経営)と呼ばれるものです。単に社内に蓄積された情報を共有するだけでなく、社員の持つ表面的な知識から表面化できていない知識までも、さらにはその知識の背景も含めて共有化していこうとするものです。どういう情報を収集するためにどういう方法をとるのかといったことについて定型化が困難な分野であり、IT化も一筋縄ではできませんが、経営層とIT担当者の知恵と技術を融合させて進める必要があるでしょう。
※情報セキュリティは進んでいるのか?

 個人情報保護法の本格施行もあり、情報セキュリティへの注目が増しています。これを契機に社内セキュリティに取り組まれはじめたところもあるでしょう。しかし、部分的なセキュリティ対策(ウィルス対策、ファイアーウォールなど)は実施されていても、総合的な対策というと十分は進んでいないのではないでしょうか?
その理由として以下の点があげられるでしょう。

1.一般的なリスクと同じく、自分のところでは大きな被害は起こらないだろうという根拠のない安心感(人命にかかわることもない)
2.かかる費用に対して目に見える効果が考えられない。
3.日々進化する技術の中でどこまでやればいいのかわからない。あるいは専門的な言葉に惑わされ何をやればいいのかわからない。
4.セキュリティ対策のため、様々な制約が増えて自由度が減る。(入退室管理、アクセス制限やノートパソコンの持ち出し禁止など)
5.トップがセキュリティの必要性を認識していない。


 特に小規模の企業においては、人材をはじめとした資源が不足しており、目の前にやるべきことが優先され、セキュリティ対策は対処療法になってしまっていることが考えられます。しかしながら、ITやネットワークから隔離された状態で事業を行うのでなければ(ITのない環境での事業継続は困難になりつつある)、抜本的なセキュリティ対策は事業継続の上で避けては通れないものと認識しておくべきでしょう。「行動範囲を広げる→自動車の運転→事故に会う確率が高まる」のと同じく、「事業の拡大→ITの活用の増加→リスクの増大」という流れは必然です。また、情報セキュリティの場合も被害を受けるだけでなく、加害者の立場になり得ることも自動車の運転と同じであると認識しておく必要があります。事業を続けていこうとする場合は、自動車保険に入るのと同じように、なにかしらのセキュリティ対策は必須だと考えないといけません。個人情報保護法に見られるように、「セキュリティ対策をしっかりと行わないことは法律違反になる」ということが社会全般のコンセンサスにもなってきています。

※情報セキュリティ対策の第一歩はリスク分析から
  情報セキュリティ対策というと聞き慣れないカタカナ語が氾濫し、わけのわからないまま業者の言うなりにセキュリティツールを導入することもありがちです。また、その導入によって自社のセキュリティ対策は十分だと思い込んでしまったりするのでよけいにやっかいです。ITは日々進化しているため、セキュリティ対策に専門家の協力が不可欠なことも事実ですが、効果的なセキュリティのためには専門用語に惑わされず、セキュリティ対策の策定段階でのポイントを認識しておく必要があります。
 セキュリティ対策の手順として、@リスクを認識する。Aリスクに対する対策をとる。B万一事故が発生した場合の対処法を決めておく。の3点は押さえておかねばなりません。この中で「リスクの認識」はそのあとの対策と密接に関連するため、綿密に行っておく必要があります。リスクを的確に把握しないで対策を作っても費用の無駄遣いや重要な箇所に対策が漏れているいった事態を招いてしまいます。
 リスクの分析と評価は以下の3つの要素に分けて行います。

@情報資産の分析
 組織の保有するあらゆる情報を洗い出し、その重要性でランクづけする。
A脅威の分析
 情報資産や組織に損失や損害をもたらす可能性のある潜在的な要因を洗い出す。
B脆弱性
 それだけでは何ら障害とはならないが、脅威を顕在化させ、損害や障害を導いてしまう事象を洗い出す。いわゆるセキュリティホールの洗い出し。

この3つの項目を組み合わせてリスクの大きさとし、評価されたリスクに応じて対策を策定します。すべてのリスクに対策を実行しようとすると費用が莫大になるので、基準を設定してそれ以上のリスクに対してのみ対策法を検討することになります。したがって、適切なリスク分析が後の対策の効果と効率を左右することになります。

※情報資産の分析を業務改善のチャンスと捉えましょう。
  上で述べたリスク分析のうち脅威や脆弱性の洗い出しにはある程度専門知識が必要なものです。ところが情報資産については、内部の者でしかその価値は評価できないものであり、さらにはそれが企業の強みの源泉であることから、資産洗い出し作業を競争優位に立つための非常に重要なステップと位置づけるべきでしょう。そのため、この作業は様々な立場の人がチームを組んで取り組みべき課題といえます。
 また、情報資産の洗い出しは単に現存する情報資産を羅列するだけでなく、下記のような視点を持って取り組むことで、業務の効率化を実現する契機となることはもちろん、より強力な情報戦略の基盤の整備にもなるでしょう。

@社内情報にはどういうものがあるか
 社内情報といえば、電子データをはじめ印刷物あるいは手書きのものも含め、膨大な量になります。ところが、そのうち有効に活用されている情報となるとどれくらいの割合になるのでしょう?情報は放っておけば常に増え続けます。その結果、必要な情報がすぐに取り出せなかったり、不要な情報に振り回されて迅速で的確な意思決定ができなくなることもあり得ます。
 情報を扱う場合、常に情報のライフサイクルを念頭に入れておくべきでしょう。不要な情報は適切な方法で処分すること。情報が作成あるいは入手された段階でそれを廃棄するルールを決めておくこと。情報が改訂されるものについては古い情報の取り扱いルールを決めておくこと。により、情報漏えいの危険性が減少すると同時に効率的な情報活用が可能になります。

Aその情報はどのように格納されているか
 情報の格納方法も様々です。紙の情報は目に見えるためある程度整理されますが、電子情報の場合は、目に見えず場所も取らないため、ルールがなかったりあるいはルールがあっても守られていないとすぐに無秩序になってしまい業務に支障が発生します。時に重要な情報が個人のパソコンの中にあるということもあり得ます。
 情報の格納方法をルール化しておくことは言うまでもありませんが、その場合セキュリティと共有化の両面を考慮しておくことでしょう。重要度に応じて格納場所や方法を変えることはもちろんですが、必要な人が必要な情報を取り出しやすいようなシステムにしておくことが必要になってきます。

B情報の流通経路はどうなっているか
 情報は通常業務プロセス間を流通します。あるプロセスに情報がインプットされ、そこからアウトプットされた情報がさらに別のプロセスにインプットするといった流れを形成します。この情報の流れを図示したものが業務フロー図と呼ばれるものです。
 情報の流れに視点をおいて業務フロー図をながめていけば、無駄な業務や重複した業務あるいは業務の抜けが発見できることがあります。業務の流れは当初はシンプルであっても時の流れとともに複雑化していくことが常です。さらに、業務の複雑化とともに情報の流れも錯綜していきます。情報資産分析を行う場合に「情報のフロー」という視点と同時に分析していけば、シンプルで整合性のとれた業務改善へとつなげていけることでしょう。

情報セキュリティ対策というとつい受身で取り組みがちです。しかし、経営における情報の重要性を考えた場合、いかに安定してかつ効率的に情報を活用するのかという視点を持っていることが今後の競争優位性を左右するといっても過言ではないでしょう。
※情報システムとマネジメントシステム
 「システム」という言葉を聞くとつい「コンピュータを使った処理」とイメージしがちではないでしょうか?しかし、「システム」とは「個々の要素が有機的に組み合わされたまとまりをもつ全体。体系。」という意味です。したがって、システム構築とはITを導入するか否かは全く関係はなく、ヒト・モノ・情報など様々な要素を対象として、それらを組み合わせて全体の仕組みを作ることです。企業活動の場合、そのシステム構築は、@経営理念から導き出される経営目標を明確にする。→ A経営の構成要素である「経営資源」「個々の業務」を明確にし、それぞれのパフォーマンスを高める。→ B要素間の関連を調整し、全体最適を目指す。という流れとなります。
 「情報システム」は企業全体からみれば、その構成部分となる一つのシステムです。したがって情報システムの構築においても、@経営戦略から情報戦略を導き出す。→ A個々のハードウェアやソフトウェアの性能を最大限高める。また、利用者が適切に操作できるようにする。→ Bインターフェースを最適化し、全体として最もパフォーマンスの高い仕組みとする。という流れをしっかり押さえておかなければなりません。単に、現状の業務の一部をコンピュータ処理に置き換えているだけでは「情報システム」とは言えないという点を注意すべきでしょう。
 情報システムを具体的に構築するにあたっては、システム構築の実践的な手法を取り入れることが賢明です。システム構築の考え方や手法が体系的にまとめられ、しかも実践的なものとしてマネジメントシステム規格があげられます。マネジメントシステム規格はISO9001やISO14001に代表されるもので、事業活動を管理するシステムにおいて押さえるべきポイントやシステムの組み立てと運営の手法などを国際的な共通の規格という形で文書化されているものです。特に品質マネジメントシステム(ISO9001)は、顧客に焦点を合わせることにより長期にわたってパフォーマンスを継続的に改善することを目的としており、企業活動の根幹ともいえる部分を構成し重要な示唆を含んでいます。情報システム構築場面でこの品質マネジメントシステム構築の視点や手法を意識して活用することで、効率よく構築がすすみ、また作り上げられたシステムがより効果の高いものとなる可能性が高まります。
 ISOというと、「お金がかかる」「面倒なことが多い」というイメージを持つ人もかなりあります。しかし、ISO9001をISO認証という狭い面で評価するのではなく、経営活動のためのツールとして捉え直すことによって新たな価値が見出せるのではないでしょうか。

※品質マネジメントシステムの原則と情報システムへの応用
 品質マネジメントシステムには以下の8つの原則があります。
  @ 顧客重視
  A リーダーシップ
  B 人々の参画
  C プロセスアプローチ
  D マネジメントへのシステムアプローチ
  E 継続的改善
  F 意思決定への事実に基づくアプローチ
  G 供給者との互恵関係


この中で、CDEFは特に情報システム構築を考える上でポイントとなるでしょう。

Cプロセスアプローチ
 プロセスアプローチとは「一つ一つのプロセスを明確にし、適切に管理し、改善すること」とされています。この場合「プロセス」とは「インプットに対して経営資源を使ってアウトプットに変換する一連の活動」を意味しています。すなわち全体業務を、設計、購買、販売など個々の業務(プロセス)に分解し、それぞれの業務のインプットとアウトプットを明確にするとともに、業務内容を5W1Hで分析した上で改善を図る過程になります。
 情報システムの視点から見た場合、プロセスアプローチとはサブシステム(仕入管理システム、販売管理システム、顧客管理システム、在庫管理システムなど)の構築過程と言えます。効果的なプロセスアプローチを経て適切なハードウェアとソフトウェアを配置すれば最適なサブシステムが構築できます。プロセスアプローチをきっちりと実行すれば、入力系・出力系の具体的な中身が整理されて明確になり、さらには入力から出力への変換過程も可視化されてそのプロセスに求められる要件が明確になります。その結果サブシステム構築はスムーズに行われて、導入後の運用も無理なく、無駄なくできる効果が期待できるでしょう。

Dマネジメントへのシステムアプローチ
 これは「相互の関連するプロセスを一つのシステムとして明確にし、理解し、運営管理すること」とされています。プロセス間の関係を明確にし、さらには全体として最適の結果がでるように管理することです。
 情報システムの側面で押さえておくべき点は、サブシステム同士のインターフェースを最適化するということです。データベースの一元化、コードの統一、サブシステムでの入力二重化を防止することなど、業務間の情報の流通がスムーズになる方策をとる必要があります。
 この考え方を発展させた概念がERP(Enterprise Resource Planning)となります。

E継続的改善
 いわゆるPLAN(計画)-Do(実行)-Check(チェック)-Act(改善)のサイクルを回して継続的な改善をすすめることにより、環境変化に迅速かつ的確に対応できるようにすることです。改善による最適化を一時的なことに終わらせず、永遠に改善を志向することがマネジメントシステムの根幹です。
 この仕組みを情報システムで実現するためには、的確なテンプレートの作成と情報の有効な伝達方法が重要になります。実績が計画と対比される形で確認でき、その原因が追究できるもの、さらには計画にフィードバックできるようなテンプレートを開発してデータを落とし込む情報システムが不可欠になります。こうしたテンプレート開発がポイントとなるため、関係者が試行錯誤を重ねつつ練り上げていかねばならないでしょう。
 また、日々の業務の中ではついDo(実行)の活動が中心になり、CheckやActに手が回らないことが往々にしてあります。CheckやActを意識せざるを得ない状況をITにより実現することも考えるべきでしょう。例えばタイミングを決めて情報が自動的に伝達される仕組みを作っておくことが有効になります。メールで情報を送付したり、パソコン画面に定期的に情報を表示させるなどプッシュ型の情報提供方式の採用も考えられます。

F意思決定への事実に基づくアプローチ
 これは、意思決定者が迅速かつ的確に判断ができるようなデータや情報が提供されることを意味します。意思決定を行う人に対し、必要な時に、必要な情報が、必要とする形で提供されることです。これが簡単にそうに見えて実際は中々実現できていないのではないでしょうか?月に一回細かな数字の羅列となっている資料が配られているいった例がよくあります。環境変化の激しい状況では意思決定は常に求められます。そのため、ポイントを絞った情報がタイミングよく提供されなければなりません。
 そのためには、まず必要な情報を絞り込み、意思決定に結びつきやすい表現方法を採用することが効果的です。例えば表よりも図で表現するとか、基準となる指標を設定しておき、その基準値を超えた値の場合は色を変えるといった工夫も考えられます。
 また、タイミングよく情報提供される仕組みが必要です。イントラネットを使いリアルタイムに情報を閲覧できる方式や、Eで述べたようにタイミングを決めて適切な方法で情報が伝達させる方式を実現することが有効でしょう。

 その他にも、品質マネジメントシステムには体制づくり、文書管理、経営者の関わりなど情報システム構築にも考慮しておかないといけない重要な箇所は多々あります。
 中小企業では資金的あるいは人的な制限のため、IT導入はどうしてもつぎはぎ状態になってしまい、「情報システム」というより「情報ツールの寄せ集め」になりがちです。競争力を付け経営基盤を強化する情報システムを構築するには、マネジメントシステムの考え方を強力な援軍とするべきではないでしょうか。

※、「企業資源計画」と訳すことができる。その概念は企業の経営資源であるところの「人・モノ・金」を最適に配分し、管理運用して一つの部門ではなく、企業全体としての最大パフォーマンスすなわち、企業利益を得るために全体最適化を目標としている。

※現在の情報システムは大丈夫か?
 「情報システム」と聞くと、つい「ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ」と考えがちです。そういった捉え方をしてしまっているためにいろんな支障が発生している例もよく見られます。むやみやたらに帳票が出力されているために細かい数字に目が奪われ、どれを見てどう判断したらわからないといったこと。せっかく手間をかけて入力しているのにその情報がまったく活用されていないといったこと。導入したシステムに無理に業務を合わせてしまい、逆に業務が非効率になってしまったということ。システム導入が目的化してしまい不要なシステムを導入してしまったということなど、誰にも一度は心当たりがあるのではないでしょうか?また、単にコンピュータに強いという理由だけで情報の担当者が決められていることにより、部門間の調整やベンダーとのやりとりがうまくいかず、費用ばかりかかって使い勝手が悪くなってしまったということもないでしょうか?
 情報システムなくして現在の経営は考えられませんが、その情報システムが「無用の長物」どころか「トラブルメーカー」にならないように注意しておく必要があります。

※『情報システム』の意味を再認識する。
 「情報システム」とは、活動にかかる「情報」の流れ(フロー)と蓄積(ストック)を管理する『システム』(仕組み)と言うことができます。したがって、「まずパソコンありき」ではないということはおわかりでしょう。パソコンがなくても「情報」のフローとストックを適切に管理できていれば立派な「情報システム」と言えます。ただ、現在のような大量の情報と複雑な情報の流れを管理するためにはパソコンが欠かせないのは事実ですが・・・。
 しかし、実際に業務に携わっていると、「何でこんな無駄なものが必要なのか」という書類といくつも出会います。そういう書類が作られた当時はその「情報」が大事な意味あいを持っていたのでしょうが、時の流れとともにほとんど意味がなくしてしまった、あるいは他で代用できるようになってしまったのでしょう。また、同じ情報を別々のシステムに何度も入力しているといった例も度々あります。このような例においては情報のフローとストックが十分管理されておらず、情報システムが十分機能していないと考えられます。
 経営資源の中で「情報」が重要な位置を占めることは言うまでもありません。足腰の強い経営体質を構築していくためには、「情報システム」の考え方の原点に立ち、《「情報」のフローとストックの現状を把握する》→《自社の経営戦略から見て「あるべき情報のフローとストック」を認識する》→ 《そのギャップを埋めるための情報システムを考える》という手順を再度辿ってみるべきではないでしょうか?

※情報をストックとフローの切り口で分析する。

 情報システムの現状を把握し、自社の経営戦略から見て「あるべきシステムのあり方」を認識するためには、まず、自社を取り巻く情報をフローとストックの2つの切り口で分析し、整理しておく必要があります。
 フローの視点から分析する場合、業務の流れと対応させながら分解することが基本です。業務プロセスおよびプロセス間の関連を押さえ、どのプロセスから、どんなタイミングで、どのような情報が入り(インプット)、どういう形になって出て行くのか(アウトプット)図示してみると問題点が明らかになります。その場合「あるべき業務プロセス」の姿も同時に作って対比させることが必要です。そうすれば、「必要な情報が入力・出力されていない」、あるいは「不要な情報が入力・出力されている」といったことが見えてきます。また、今まで確立できていなかった情報のチャネルに気づくこともあります。例えば、顧客からの情報がインプットされる流れがなかったということもあるでしょう。
 次にストックの視点から分析する場合、情報の重要度に注目する必要があります。現在において情報はいくらでもたまり、放っておけば収拾がつかなくなります。それら情報を効率的に蓄積し、タイムリーに取り出せて効果的に活用できる状態にしておくことが不可欠です。この場合、「誰にとって」という面を考慮しておかないといけません。経営体の中の位置によって必要とする情報の中身と重みに違いがあります。経営者−管理者−担当者などそれぞれの階層における重要度別の情報は何か、どういう形態の情報が必要とされているのかを、階層軸と重要度軸のマトリックスで整理するといいのではないでしょうか。

※経営の視点からメリハリのあるシステムを構築する。

 このように社内「情報」を分析し再評価すると、自社の経営課題のポイントと「情報」との接点や、自社の強みをさらに活かしていくべきポイントと「情報」との接点が浮かび上がってくるのではないでしょうか? 情報システム導入を考えた場合はむやみに投資せず、このようなポイントとなるべきところを重点的に考えることが求められます。
 ポイントとなる部分について情報システム構築に取り掛かる場合、まず経営者と情報担当者および業務担当者が、「何を目指すのか」という『目的』を明確にし、かつ共有することが必須です。『目的』をしっかりと確認しておかないと、つい新しい技術に目を奪われたり、ベンダーの意見に左右されシステムがあらぬ方向に行ってしまうおそれがあります。『目的』を共有した上で、必要となる情報の《インプット》・《アウトプット》・《インターフェース》を明確にしつつシステム構築を進めていきます。こうしたシステム構築は社内でプログラムするほうがより現場に即したものになりますが、そういう技術を持たない場合は情報担当者が窓口になって外注することになります。
 システム構築はポイントとなる部分だけでなく、全社をシームレスに管理できるよう統合した形で構築するに越したことはありません。ただ、中小企業のように限られた資金の中で導入する場合はメリハリをつけざるを得ません。重要度の低い部分については市販の安価なアプリケーションを導入して、業務方法をある程度システムに合わせていく工夫も必要になるでしょう。その場合、市販のアプリケーションから出力される汎用データ(テキストやCSVなど)を自動的に取り込んで活用できるようEXCELのマクロ機能などを使いフレキシブルに対応することも考えられます。

※情報システムが経営環境の変化に柔軟に対応できる仕組みを作る。

 情報システムは「情報」のストックとフローを管理する仕組みと述べました。管理するということは情報が正確で滞りなく流通しているかどうか「監視」することだけではありません。環境が変化すれば経営戦略も変える必要があり、それに伴い「情報」の流れや重要度も変化することは当然です。そういった変化を常に意識し、変化に応じたシステムの改廃を進めなければ、ややもすると情報システムが経営の足枷になってしまうということも考えられます。すなわち、情報システムについてもPLAN-DO-CHECK-ACTの管理サイクルを構築しておき、継続的な改善を目指していかねばなりません。